総務省は2月24日,「次世代IP網ワーキンググループ」の第2回会合を開催した。日本のインターネット・トラフィック急増に対応できるIPインフラの整備や,整備に必要な政策支援方法について議論する。2月13日の第1回会合を受けて開催された本日の会合では,インターネット接続事業者(プロバイダ)各社がPtoPアプリケーションのトラフィックの扱いに苦悩する姿が明らかになった。

 電力系地域通信事業者のケイ・オプティコムは同社のFTTH(fiber to the home)サービスのトラフィック状況を説明。「1カ月で150ギガ・バイト以上のトラフィックをやり取りするユーザーが全ユーザーの10%おり,これが全トラフィックの80%以上に達する。極端なユーザーだと,1カ月のトラフィックが7.3テラ・バイトに上る」(企画室経営戦略部ループの南浮泰造部長)。

 KDDIもプロバイダ網のIPトラフィックが急増しつつある現状を紹介。「今の所はネットワークに対して制限などはかけていないが,ずっとこのままで行くのは難しい」(KDDI)。一部のユーザーが利用するPtoPトラフィックが,今後回線設備を共有する別のユーザーのレスポンス低下を招くとの不安を吐露した。

 その後,インターネット相互接続点(IX)のインターネットマルチフィード大阪が地域IXのトラフィック状況を説明。続いてインテック・ネットコアが,現在の東京一極集中のトラフィック状況や,広域分散型IXなどを紹介した。

 だが,「次世代IP網」を考える上での具体的な議論の方向性は,最後まで見出せないままに終わった。次世代IP網ワーキンググループは約2週間に1回のペースで議論を続け,親組織の「次世代IPインフラ研究会」が報告書をまとめる上で必要な情報を報告する。次世代IPインフラ研究会は,日本のインターネット・バックボーンのあり方などについて2004年6月に第1次報告書,2004年末に第2次報告書をまとめる予定だ。

(蛯谷 敏=日経コミュニケーション)