NTT持ち株会社が2月16日,次世代ネットワーク構想「RENA」(resonant communication network architecture)の利用シーンを明らかにした。16,17日の両日,NTT武蔵野研究開発センタで開催している「NTT R&D FORUM」で公開している。

 同フォーラムの基調講演ではNTTの和田紀夫社長が,「光をベースにした新ネットワークで,少子高齢化など日本の抱える課題の解決や国のe-JAPAN構想に貢献していく」とRENAへの意気込みを表明。このほか,NTT研究所の成果を中心に,ワークショップやデモを展開した。

 持ち株会社がRENAの主眼に据えているのは映像コミュニケーション・サービス。「今までイメージしにくかったRENAの姿を見せる」(NTT)ことを目的にしたデモには多くの研究成果を盛り込み,母と離れて暮らす娘のやり取りを想定した利用シーンを実演した(写真)。

 具体的には,テレビ電話をベースにビデオ・メールを親子で共有したり,テレビ電話上での通話転送などを見せた。要素技術として,ビデオ・メールの自動要約機能や,動画から音声をキーワードにして画像を検索する機能などが盛り込まれた。また,「つながり感メディア」と名付けたタッチパネル式のセンサーを使って,プレゼンス情報を公表する仕掛けや,テレビ会議を開始する前に音声でのやり取りを経るといったテレビ電話用の作法も紹介した。

 今回のセミナーでは,主にアプリケーションに関わる技術が公開された。東西NTTの地域IP網をベースに構築するネットワーク・インフラは謎に包まれたまま。ベスト・エフォート型ではなく帯域保証型のネットワークとして生まれ変わると言われる“RENA網”の姿は依然として霧の中だ。

(山根 小雪=日経コミュニケーション)