米CATV最大手のコムキャストは2月11日,米娯楽最大手のウォルト・ディズニーに対して買収を提案したことを発表した。買収総額は660億ドル,日本円でおよそ6兆9762億円を提示している。このうち119億ドルがディズニーの負債分だという。株式交換を提案しており,ディズニーの株主に対し1株当たり0.78株のコムキャスト株を発行するという内容。ディズニーの株主は新会社の42%の株式を保有することになる。

 コムキャストは2002年11月にCATV事業に取り組む米AT&Tのブロードバンド部門を合併し,全米最大のCATV事業者となった。ユーザー数は約2100万。全米各地でCATVのインフラを使った,映像配信,インターネット接続,電話のサービスを提供している。家庭向けのIP電話サービスにも積極的で,実験を繰り返している。

 ディズニーのコムキャストによる買収が成功すれば,コンテンツから配信インフラまですべてを押さえる巨大なメディアが誕生することになる。ディズニーは4大テレビ・ネットワークの一つABCを傘下に持つ。

 なお,2003年3月に作成したコムキャストの決算資料によると,同社の株主には米マイクロソフトが7.4%を保有する最大株主として名を連ねている。およそ1億株を保有している。現在もマイクロソフトが株主であれば,今回の買収に同社の意向が反映されていると見られる。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)