イー・アクセスが事業化を検討中の第3世代(3G)移動通信サービスの詳細が明らかになった。同社が3Gサービスの通信方式として採用するのは「TD-SCDMA(MC)」(time division-synchronous code division multiple access multi career),通称「MC-SCDMA」(multi career-SCDMA)と呼ぶ方式。イー・アクセスは,1月30日に開催された日本で実用化されていない3G通信方式を採用するかどうかの技術評価を審議する「IMT-2000技術調査方策作業班」の第2回会合でも提案済みである。

 イー・アクセスの提案する「MC-SCDMA」は米Navini Networks(ナビーニ・ネットワークス)が開発した通信方式。IMT-2000の標準仕様であり,中国での採用が濃厚な「TD-SCDMA」方式を改良した。「基地局当たりのカバー・エリアや通信速度は既存のTD-CDMAやTD-SCDMAを上回る」(米ナビーニ ネットワークス)。既に米国やオランダ,イタリアなどで商用サービスが始まっているという。

 イー・アクセスでは,こうした海外での実績や技術を評価し,同方式の採用を決定したもよう。3月にも日本での実験を開始する予定である。

 イー・アクセスは当初,3Gサービスの通信方式として「TD-CDMA」を採用し,米IPワイヤレスの製品を利用することで準備を進めていた。総務省への実験局免許も申請中である。しかし,「TD-CDMAやTD-SCDMAが提案された当時と現在の技術状況は変わった。よりデータ通信に向いたMC-SCDMAが最良と判断した」(関係者)ようだ。

 ただし,MC-SCDMAは現在,IMT-2000の標準方式ではない。このため,総務省が検討しているIMT-2000の技術調査の趣旨と合致するのかは不透明。今後,作業班でどう扱っていくかが注目を集めそうだ。

(蛯谷 敏=日経コミュニケーション)