ボーダフォンは2月2日,第3世代携帯電話(3G)の新製品「V801SH」を4月上旬をめどに発売すると発表した。V801SHは,ボーダフォン向け携帯電話機のトップ・メーカーであるシャープ製品。バッテリが持たない,大きい,重いといった3G端末のマイナス・イメージを払拭する仕様となっている。直営店での参考価格は「新規加入者向けで3万円弱の見込み」(広報)。

 V801SHは,連続待ち受け時間が200時間,大きさは高さ102×幅50×厚さ26mm(折りたたみ時),重さ126g。これに対して,ボーダフォンの最新の現行携帯電話機「V601SH」(シャープ製)は,400時間,99×49×25mm,117gである。待ち受け時間は見劣りするが,昨年後半から快進撃を続けるauの携帯電話機の大半が200時間であることから,実用上,十分なレベルだといえる。

 V801SHは,NTTドコモのFOMAと同じW-CDMA方式の3G端末である。欧州標準の現行方式「GSM」にも準拠しており,GSMモードで使えば84カ国・地域で音声通話が,29カ国・地域で「ボーダフォンライブ!」が利用できる。ボーダフォンライブ!は,Webサイトにアクセスしたり,メールを送受信できるサービス。ユーザーが国内外のどちらにいても,写メールやムービー写メールの送受信ができる。国際対応をここまで進めているのは,ボーダフォンだけ。

 また,V801SHは有効画素数100万のカメラを搭載。858×1144ドットの静止画や,約40秒の動画が撮影できる。メイン・ディスプレイは2.4インチでQVGA(240×320ドット)の26万色液晶,SDメモリーカード・スロットを装備した音楽プレイヤーとして使えるなど,機能面では2003年5月下旬に発売した現行携帯電話機「SH-53」(シャープ製)並み。もっとも,最新の現行携帯電話機と比べてほとんど遜色はない。

 ボーダフォンの3Gユーザー数は,2003年12月末時点で11万1700と少ない。しかもこの数値には,ボーダフォンが提供する海外利用専用のGSM携帯電話のユーザー数を含む。約1477万いるボーダフォン・ユーザーの中では,シャープのシェアが最も高いと見られる。ファンの多いシャープ製品だけに,V801SHの売れ行きは今後の3G事業の展開に大きな影響を及ぼしそうだ。

 ただしV801SHは,W-CDMA方式の3G端末の特徴の一つ,テレビ電話機能に対応していない。ボーダフォンは,昨年12月に発売した3G端末「V801SA」(三洋テレコミュニケーションズ製)向けの広告では,テレビ電話機能を大々的にアピールしてきた。この点を市場がどう評価するか。こちらも興味深いところだ。

(杉山 泰一=日経コミュニケーション)