ネットワーク技術者が集まり,最新の技術や問題点を論議する「JANOG(Japan Network Operatoers Meeting)13」が1月29日,30日の二日間にわたって,東京都港区の赤坂プリンスホテルで開催された。二日目の30日は,広域イーサネット・サービスの実現技術の一つ「EoMPLS(ethernet over multiprotocol label switching)」や「PtoP(ピア・ツー・ピア)」などに熱い議論が交わされた。

 大きな盛り上がりを見せたのは「IP放送」のパネル・ディスカッション。進行役はソフトバンクBBと有線ブロードネットワークス。パネリストには,既にIP放送を提供するKDDIやビー・ビー・ケーブル(ソフトバンクBBの子会社)のほか,スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(スカパー!)の技術者などが顔を揃えた。

 FTTH(fiber to the home)サービス「KDDI光プラス」を提供しているKDDIは,「複数の通信事業者が介在するとユーザーにとって分かりにくい。1社の事業者が,すべてIPベースで提供するのが理想型」と発言。これに対してスカパー!は,「放送で最も重要な役割を担うコンテンツ・ホルダーは,“インターネット=映像の違法コピー”という印象を持っている。まだIP放送には魅力的なコンテンツが集まりにくい」と反論した。

 1月22日に一部で報じられたNTT東西地域会社とスカパー!が新会社を設立してIP放送に参入するという報道に質問が飛ぶと,「IP放送を絶対にやらないというわけではないが,今は何も決まっていない。コンテンツ・ホルダーやIPインフラなどの様子を探っている状況」(スカパー!)と説明した。

(山根 小雪=日経コミュニケーション)