CSデジタル放送サービス「スカイパーフェクTV!」を提供するスカイパーフェクト・コミュニケーションズは,同社が計画しているFTTH(fiber to the home)回線を使った“光放送サービス”を1月中をメドに開始する。全額出資子会社で事業主体となるオプティキャストが,12月17日に放送事業者としての登録申請を総務省に出した。来年1月中旬にも登録が完了する見通しだ。

 今回オプティキャストが申請したのは,NTT東日本のFTTH回線を使ったマンション向けの多チャンネル放送サービス。第1号ユーザーとして,東京都中央区にある既設マンションへの導入が決まっている。スカパー!の大半のチャンネルに加えて,地上アナログ放送,地上デジタル放送,BSデジタル放送,FM放送もFTTHで再送信する予定だ。ただし,地上デジタル放送やBSデジタル放送は,それぞれのメディアに対応したチューナーが必要になる。

 回線を提供するNTT東日本は,16日に回線料金を総務省に届け出た。焦点となるNTTの電話局からマンションまでの回線料金は月額1万8000円。1棟で20世帯くらいの加入者を獲得できれば,1加入者当たりの回線コストが1000円を下回る。また,放送信号を送出するセンター設備や中継回線の貸し出し料金は,最低で月額421万6000円。いずれも,NTT東日本が放送事業者であるオプティキャストから徴収する。

 なおNTTグループは,1心の光ファイバーにインターネット接続や放送サービス用の信号を多重する「波長多重方式」で,サービスを実用化する予定だった。しかし,NTT東日本は「マンションにはそもそも多心の光ファイバーを引き込んでいる。波長多重方式を採用するとかえってコストが高くなる」(サービス開発部)と判断して,1心を丸ごと放送事業者に貸し出すことにした。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)