米投資会社のリップルウッド・ホールディングスが,日本での第3世代(3G)携帯電話サービス参入を検討していることが明らかになった。第3世代移動通信システム「IMT-2000」の通信方式の一つである「TD-CDMA」(time division-code division multiple access)を利用し,傘下の日本テレコムを通じてサービスできるかどうかを検討する。

 リップルウッドは,2003年11月に携帯電話事業者の英ボーダフォン・グループから固定通信事業者の日本テレコムを買収した。その結果,日本テレコムはボーダフォンとの直接的な資本関係がなくなり,携帯電話サービスを提供するグループ会社が存在しなくなった。

 日本テレコムは,無線通信分野の新サービスについてはJR東日本などと共同で無線LANアクセス・サービスの実証実験も進めている。TD-CDMA方式を利用した3G携帯電話サービスもこうした新事業の一つとして実現できないか,検討を進めている。

 TD-CDMA方式の3Gサービスには,マルチメディア総合研究所の子会社アイピーモバイル,ソフトバンク,イー・アクセス,NTTコミュニケーションズ,ケーブル・アンド・ワイヤレス IDCなど複数の事業者が参入の検討を始めている。

 総務省は10月29日の情報通信審議会で,TD-CDMAを含む現在実用化されていない三つの通信方式を日本で採用するかどうかの技術評価を審議することを決定。「携帯電話等周波数有効利用方策委員会」が,具体的な技術評価に入った。これらの結果を受けて,情報通信審議会は2004年春ころにも採用の是非を答申する。

(蛯谷 敏=日経コミュニケーション)