総務省は12月11日,光ファイバや電話用の銅線について,2003年3月末時点のNTT東西地域会社の都道府県別シェアを公表した。銅線と光ファイバの合計では,どの都道府県でも9割以上のシェアがあったものの,光ファイバは東西NTTが5割のシェアを切る県があった。

 公表したのは,ユーザーが利用している光ファイバや電話線の回線数のシェア。シェアが5割を超えると,独占的であると判断されて厳しい規制が課せられる。他の通信事業者に銅線や光ファイバの貸し出すのはもちろん,貸し出し料金を公表したり,料金を変更する際は総務省に認可申請する必要がある。東西NTTは以前から,光ファイバは競争状態にあるため規制を外すべきだと主張していた。

 もっともこれまでは,東西NTTのシェアが5割を切る県はなかった。ところが今回,回線数の数え方を変更したこともあり,光ファイバに限定すると奈良県と和歌山県のシェアが初めて5割を下回った。NTT西日本のシェアは,奈良県が48.2%,和歌山県が46.6%。他にも,京都府が61.7%,大阪府が62.5%など近畿圏のシェアが低い。これは,関西電力グループの通信事業者であるケイ・オプティコムのFTTH(fiber to the home)サービスなどが,ユーザー数を伸ばしているためだ。

 ただし,光ファイバのシェアが5割を割り込んでも,すぐにNTT西日本の光ファイバの規制が外れるわけではない。総務省は,光ファイバと銅線の合計シェアで,独占かどうかを判断しているからだ。銅線との合計では,奈良が99.5%,和歌山が95.3%とNTT西日本には圧倒的なシェアがある。他の都道府県でも,銅線と光ファイバを合計したシェアはいずれも9割を超えている。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)
 

【おわびと訂正】
記事掲載当初,タイトルを「兵庫と奈良で初めて5割を切る」としましたが,「和歌山と奈良で初めて5割を切る」の誤りでした。おわびして訂正します。