NTT東西地域会社が提供する「フレッツ・ADSL」や「法人向けIP電話サービス」などの料金が,2004年春から自由化される見通しになった。従来は,東西NTTがユーザーとの契約内容である「契約約款」を総務省に申請して認可を得たり,提供料金を届け出る必要があった。

 新しい規則が適用されるとこれらの義務がなくなる。特定の法人ユーザーと交渉によりサービス料金を決める「相対(あいたい)取引」が解禁されたり,ユーザーごとにカスタマイズした通信サービスの提供が可能になる。この条項を含めた新規則は,今年夏に成立した改正電気通信事業法の省令案として,総務省が12月11日に公表した。

 改正事業法は,原則として通信料金や約款に関する規制を撤廃した点などが特徴。ただし,東西NTTが全ユーザーを平等に扱うべき「保証契約約款」制度を設けるなど,最低限のユーザー保護策を用意している。保証契約約款の対象とするサービスを決める際には,東西NTTに代わるサービスが十分に提供されているかなどをチェックする。具体的には,東西NTTのシェアが5割を超えていれば,代替サービスが十分に提供されてないため,規制の対象にすると判断する。

 今回総務省はこうしたチェック方法などに照らして,従来の契約約款の規制対象になっているフレッツ・ADSLや法人向けIP電話サービス,無線LANサービスの「Mフレッツ」,「フレッツ・オフィス」などのフレッツ・ユーザー向けの各種アプリケーション・サービス,「Lモード」など10数種類のサービスは,規制の対象から外すべきという案を示した。

 一方,FTTH(fiber to the home)のBフレッツや各種の専用線サービス,加入電話・ISDNの基本料や市内/県内市外通話などは,保証契約約款の規制を課す。また,東西NTTが独占性を有すると考えられているメタル回線や光ファイバ設備の開放義務は引き続き継続する。総務省は今回の省令案に対する関係者の意見聴取などを経て,2004年4月1日に改正電気通信事業法を施行させたい考えだ。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)