ADSL(asymmetric digital subscriber line)事業者のイー・アクセスは12月3日, 第3世代移動通信システム「IMT-2000」の通信方式の一つである「TD-CDMA」(time division-code division multiple access)を利用した移動通信サービスを実現するために,総務省に実験局免許を申請した。データ通信に特化した「無線版ADSL」サービス事業の展開を検討する。

 申請した基地局は,首都圏数カ所。実験用の端末や無線基地局は,米IPワイヤレスの製品を利用する。免許の許可を取得でき次第だが,早ければ2004年1月にも実験を開始する。

 TD-CDMA方式の実験局免許を申請したのは,マルチメディア総合研究所の子会社アイピーモバイル,ソフトバンクに続いてイー・アクセスが3社目。ほかに,NTTコミュニケーションズ,ケーブル・アンド・ワイヤレス IDCなどが同方式を使った3Gサービスへの参入を検討している。

 総務省は10月29日の情報通信審議会で,TD-CDMAを含む現在実用化されていない三つの通信方式を日本で採用するかどうかの技術評価を審議することを決定。「携帯電話等周波数有効利用方策委員会」が,具体的な技術評価に入った。これらの結果を受けて,情報通信審議会は2004年春ころにも採用の是非を答申する予定だ。

(蛯谷 敏=日経コミュニケーション)