NTTドコモは12月2日,第3世代携帯電話(3G)サービス「FOMA」と無線LANの一体型携帯電話機を試作したと発表した。NEC製FOMA端末をベースにしたもので,2004年春ころをめどに販売する見込みである。

 この新端末は,FOMAモードと無線LANモードの同時待ち受けが可能な折りたたみ型の携帯電話機。無線LANモードでは,VoIP(voice over IP)を利用して通話する。企業がVoIPによる内線電話網を導入している場合に,オフィス内の無線LAN基地局につないでコードレス電話機として使える。Webブラウザを内蔵しており,イントラネット端末としても利用できる。

 無線LANの通信規格には世界標準のIEEE802.11b方式を採用。サイズは約103mm×53mm×30mm,重さは約123gと現行のFOMA端末並みに抑えた。

 ただしIEEE802.11b方式無線LANはもともとデータ通信利用を前提とした通信仕様になっており,音声通話の品質を確保するための機能が弱い。また,無線LANによる通信は携帯電話の無線通信よりも消費電力が大きく,待ち受け時間が短くなってしまう。例えば,現在法人ユーザー向けに発売されている無線LAN専用のVoIP携帯電話機では,待ち受け時間が最大でも数十時間程度にとどまっている。

 NTTドコモはこうした課題をクリアするため,VoIPの通話品質を高めたり待ち受け時間を延長するための独自仕様を新端末の無線LAN部分に盛り込む見通しだ。
(高槻 芳=日経コミュニケーション)