割安な固定電話サービスやADSLで知られる平成電電は11月20日から,携帯電話利用者向けに通話料の割引サービス「0084-7携帯発携帯・固定着サービス」を開始した。月額100円を支払い,5桁の番号「00847」を加えて電話をかけるだけで,携帯電話の通話料が安くなる。

 現時点でこのサービスを利用できるのは,NTTドコモとau(KDDIと沖縄セルラー電話)の携帯電話となる。ボーダフォンとツーカーの携帯電話では使えない。また,事前に平成電電と契約を結び,自分の携帯電話機の番号を登録しておく必要がある。

 0084-6携帯発携帯・固定着サービスを利用した時の通話料は次のようになる。携帯電話やPHSへ発信した時は17秒ごとに10円。東西NTTの固定電話へ発信した時は26秒10円である。

 例えば,NTTドコモの料金プラン「プランA」を使っている携帯電話利用者は,携帯電話へ発信する時は16秒~41.5秒ごとに10円の通話料を支払っている。秒数にばらつきがあるのは,通話時間帯や通話距離,相手先携帯電話会社による違いである。この料金プランでは,平成電電の通話料割引サービスを利用しても料金メリットを得られるケースは少ない。

 しかし,別の料金プラン「プランB」を使う場合は,通話料は16秒~41.5秒ごとに14円かかる。この場合は,平成電電のサービスを使う価値は大きい。例えば,昼間に他社携帯電話に電話をかけたとしよう。この場合,16秒ごとに14円かかるので,3分間通話をすると168円になる。平成電電の割引サービスを使えば110円となり,58円セーブできる。

 あるいは,auの料金プラン「コミコミOneライト」を使っている利用者は,もっと大きな料金メリットを得られる。コミコミOneライトの通話料はつねに10秒10円。3分間の通話料で比較すると,割引サービスを使った方が70円も安くなる。

 このように,平成電電の割引サービスは,月額基本料が安い代わりに通話料が高い「ローコール型料金プラン」を使う携帯電話利用者に向く。ただし,携帯電話の料金プランの大半は無料通話がセットになっているので,その分は使い切っておかないと損をしてしまう。あるいは,携帯電話会社が自ら提供する割引サービスを適用した方が得するケースもあるだろう。

 また,0084-7携帯発携帯・固定着サービスを使った時の通話料は,携帯電話会社ではなく平成電電から請求される。このため,仕事とプライベートで1台の携帯電話機を使い分けたいというニーズにも適している。

 平成電電のこのサービスが多くの利用者を獲得できたら,携帯電話会社は料金プランのラインナップを見直す必要が出てくるかもしれない。「基本料がすごく安くて,通話料がとても高い」ような料金プランがあると,通話をする頻度の高い携帯電話利用者はその料金プランと平成電電の割引サービスを併用する可能性が高まるからだ。携帯電話会社は,少額の基本料収入しか期待できなくなる。思いのほか,インパクトの大きなサービスに化けるかもしれない。

(杉山 泰一=日経コミュニケーション)