日本テレコムホールディングスは11月18日,2003年度上期(2003年4月~9月)の決算を発表した。連結決算では,売上高が前年同期2%増の9028億4300万円,経常利益は同12.4%減の1236億6400万円の増収減益となった。傘下の携帯電話事業者のボーダフォンは前年度に引き続き売り上げを伸ばしたが,固定通信事業者の日本テレコム売却などの影響で減収となった。

 ボーダフォン単体の決算では,売上高が前年同期比6.2%増の7560億円となった。だが今期は,第3世代(3G)携帯電話サービスに関わる設備費用が増加。ブランド名を「J-フォン」から「ボーダフォン」に移行するための費用もかさみ,営業費用は前年同期比8.9増の6336億円に膨らんだ。その結果,営業利益が同5.8%減の1223億円,経常利益も同5%減の1215億円となった。2003年3月期の増益から一転して減益に転落した理由について,ボーダフォンのダリル・グリーン社長は「上半期は新サービスの投入が少なく,メガ・ピクセル搭載のカメラ端末以外は寂しい結果に終わった。夏には投入できるはずだった3G端末の遅れも響いた」と説明した。下期は,12月1日に始めるパケット割引サービス「ボーダフォン ハッピーパケット」や3G端末の投入により,再び増益を目指す。

 固定通信事業者の日本テレコムは,米投資会社のリップルウッド・ホールディングスへの株式譲渡が11月14日に完了した。上期の売上高は前年同期比9.4%減の1581億円。経常利益も同84.3%減の210億円となった。日本テレコムホールディングスが日本テレコム売却で得た現金2288億円は負債削減に当てる。

 なお,日本テレコムホールディングス(日本テレコムHD)は12月10日に社名を「ボーダフォンホールディングス」に変更する。日本テレコム社長を兼務していたウィリアム・モロー氏が退任し,ボーダフォンのグリーン社長が兼務する。

(蛯谷 敏=日経コミュニケーション)