無線LAN規格の特許を一元的に管理しようとする試みが始まった。米バイア・ライセンシングが米標準化団体IEEEの無線LAN規格「IEEE802.11シリーズ」に関わる特許を持つ企業や団体に対して,ホームページなどを通じて「特許プール」への参加を呼びかけている。バイアはオーディオ技術で有名な米ドルビー・ラボレトリーズ傘下の会社。

 特許プールとは,ある技術にかかわる特許を保有する会社や団体が集まり,特許使用料のやり取りを一括して管理する方式のこと。画像圧縮技術の「MPEG」や音声圧縮技術の「G.729」などで,既に運用されている。

 バイアの呼びかけが成功すれば,IEEE802.11の無線機器を開発する際はバイアに特許料を支払うことで特許権をクリアできる可能性が出てくる。個々の会社や団体とそれぞれ交渉する必要がなく,手間が省ける。もっとも,有力な特許を持つ会社や団体がバイアの特許プールに参加しなければ,影響力は限定的なものとなる。

 なおバイアが呼びかけているIEEE802.11規格は以下の通り。IEEE Standard 802.11‐1999,同802.11a‐1999,同802.11b‐1999,同802.11b‐1999/Cor1‐2001,同802.11d‐2001,同802.11f‐2001,同802.11g‐2003,IEEE P802.11i/D3.0とその後継規格

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)