総務省は11月7日,地方自治体の情報セキュリティに関する調査結果を発表した。(1)情報セキュリティのポリシーを策定しているか,(2)個人情報保護に関する条例を制定しているか――について10月1日現在の状況を調査した。

 結果は,47都道府県はのうち44(93.6%)が情報セキュリティのポリシーを策定しているのに対し,市区町村は3204自治体中,1590(49.6%)だけだった。個人情報保護条例の制定に関しては,都道府県が100%,市区町村が76.7%という結果だった。この調査から分かるのは,市区町村の情報セキュリティに対する取り組みの遅れである。約半数でセキュリティのポリシーを設定していない。

 8月に住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)のシステム本稼動がスタート。各市区町村同士がネットワークがつながった。住基ネットを巡っては,住基ネットそのものよりも,各自治体の庁内ネットワークのぜい弱性が問題として浮上している。庁内ネットワークのぜい弱であれば,そこにつながる住基ネットのサーバーやネットワークが攻撃される危険性が高まるからだ。今回の結果から,総務省が住基ネットを稼働させる前に,少なくとも各自治体にポリシーの策定を徹底すべきだったという実情が浮き彫りになった。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)