KDDIは10月30日,2003年度上期の決算を発表した。グループ全体の連結決算は,売上高が前年同期比0.5減の1兆3865億6000万円,経常利益は同249.3%増の1482億3800万円の減収増益となった。好調な携帯電話事業は前年度に引き続き売り上げを伸ばしたが,固定通信事業は音声収入の減少などの影響を受け減収となった。

 携帯電話のau事業は,売上高が前年同期比7.2%増の8647億4000万円となった。経常利益も同190.16%増の1229億6800万円となった。前期計上したPDC(personal digital cellular)携帯電話設備の撤去費用がなくなったことに加え,第3世代携帯電話サービス「CDMA 2000 1x」の契約数が順調に増えたことや,1契約者当たりの平均月間収入が増加したことなどが要因。下期は,11月28日に始める新携帯電話サービス「CDMA 1X WIN」などにより,さらなる売り上げ増を目指す。

 一方,固定電話やデータ通信サービスの「BBC(ブロードバンド・コンシューマ)&ソリューション事業」は,売上高が前年同期比10.7%減の2754億3300万円,経常利益も同72.8%減の102億7800万円だった。固定電話サービスの音声収入の落ち込みに加えて,NTT東西地域会社に支払う接続料(2003年度上期で59億円)の増加などが,主な原因だった。

 グループ会社のツーカー・グループの売上高は,前年同期比12.5%減の1418億900万円だったが,経常利益は570億400万円で前年同期の赤字から黒字に転換。「減収傾向の中でも,着実に利益を出せる体質になってきた」(小野寺社長)。PHS事業者のDDIポケットは,売上高が前年同期比4.6%減の956億8000万円だったが,経常利益は同31.1%増の100億7500万円。定額PHSサービス「Air H”」が堅調で,前年に続き利益を拡大した。

(蛯谷 敏=日経コミュニケーション)