総務省は10月29日,5GHz以上の周波数で無線LANが利用できる帯域を拡大するよう技術的な検討を開始すると発表した。総務大臣の諮問機関である情報通信審議会に委員会を設置し,2004年10月までに結論を出す予定。今年6月から7月に国際電気通信連合(ITU)が開催した無線通信に関する会合「2003年世界無線通信会議(WRC-03)」における,5GHz帯無線LANの帯域拡大の決定を受けた取り組みである。

 拡大する周波数帯域は2カ所。(1)5.15G~5.35GHzを屋内の無線LAN用の帯域として,(2)5.47G~5.725Hzを屋外と屋内の両方で使える無線LAN用の帯域として,それぞれ開放したい考え。このうち国内では,5.15G~5.25Gがすでに屋内用の無線LANとして運用されている。これ以外にも,4.9G~5G,5.03G~5.091GHzも屋内外で使える帯域として既に開放されている。

 拡大を検討する帯域は,現在気象用レーダーなどが使用中。総務省は「基本的に既存通信の仕様や運用方法は変えない方針。無線LANの側でレーダーの電波を検知したら,無線LANの通信チャネルを他のチャネルへ移動するといった方法を盛り込み共存を図りたい」(総合通信基盤局電波部基幹通信課)との考え。

 設置する「5GHz帯無線アクセスシステム委員会」には通信事業者や通信機器メーカーが参加。他国ともやり取りしながら,技術的な国際仕様を詰めていく。仕様に基づいた無線LAN端末は,国内だけでなく国外でも利用可能になる見込み。なお,第1回目の同委員会会合は11月中旬に開催する。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)