NECは10月29日,企業向けの無線LAN製品群「WLシリーズ」の販売を開始した。運用負荷の軽減や音声通話対応などの付加機能を搭載し,企業向け無線LANシステム事業の強化を図る。

 新製品群は,(1)無線LANアクセス・ポイントの「WL1200シリーズ」,(2)WL1200シリーズを接続するLANスイッチ「WL2000シリーズ」(写真1),(3)運用管理ソフト,(4)音声通話用の電話型端末(写真2)--などで構成する。製品は米国の通信機器メーカーであるエアスペースと共同開発した。

 WLシリーズの大きな特徴は,無線LANで音声通話などのリアルタイム・データのやり取りを考慮した機能を搭載したこと。音声パケットを優先的に送受信したり,一定の帯域を確保するQoS(quality of service)機能や,複数の無線LANアクセス・ポイント間で通信切り替えをスムーズに実現する高速ハンドオーバー機能を独自に追加した。電話型端末では消費電力を抑えた。「連続待ち受け時間は,従来の3倍近い100時間程度にできる見込み」(NECの森山淳・ビジネスネットワーク事業部グループマネージャー)。

 運用負荷の軽減とセキュリティの強化にも重点を置いた。具体的には,無線LANアクセス・ポイントの障害時に,クライアントとの通信を他のアクセス・ポイントに自動で切り替える「フォールト・トレランス機能」や,多数のクライアントの通信を複数のアクセス・ポイントで分散して処理する「自動ロードバランス機能」を持つ。セキュリティでは,不正なアクセス・ポイントを検出する「不正アクセス自動検出機能」や暗号通信機能などを用意した。

 価格は,システム構成や無線LANアクセス・ポイントに接続するクライアントの数によって異なる。例えば240クライアントの場合,307万円から。2400クライアントの場合,2484万円からである。新製品群は,日本国内だけでなく北米やアジア地域などグローバルに販売していく計画だ。

(蛯谷 敏=日経コミュニケーション)

写真1 無線LANアクセス・ポイントを接続する「WL2000シリーズ」
写真1 無線LANアクセス・ポイントを接続する「WL2000シリーズ」

写真2 音声通話用の電話型端末
写真2 音声通話用の電話型端末