「au」ブランドの携帯電話サービスを提供するKDDIは10月24日,来年3月末までの期間限定で完全定額の無線パケット通信サービスを提供すると発表した。サービス開始日は10月31日。月額利用料は,通信料が2万1000円,パソコンと接続する無線モデムのレンタル料が6000円の計2万7000円になる。5カ月の期間限定とはいえ,携帯電話網を使ったパソコン向けの定額無線パケット通信サービスは国内初だ。

 通信方式には,10月22日に発表した新携帯電話サービス「CDMA 1X WIN」と同じ「CDMA2000 1xEV-DO」を採用する。ただし,利用周波数帯は2GHz帯で,800MHz帯を使うWINとは異なる。また,来年3月までは無線モデムは京セラ製「DO-BOX」の1機種だけ。DO-BOXは,USBケーブルでWindowsXP/2000 Professionalパソコンに接続して使う。AC電源を利用するため,屋外での利用は難しい。

 CDMA2000 1xEV-DOの最大データ伝送速度は理論上2.4Mビット/秒で,実利用環境では最大600k~800kビット/秒。複数ユーザーで電波を共有するパケット通信なので,平均実効速度は300k~500kビット/秒程度になると見られる。ADSL(asymmetric digital subscriber line)やFTTH(fiber to the home)に比べると割高だが,パソコンと接続して使える“無線ブロードバンド・サービス”といえる。

 無料キャンペーン期間が終了する2004年4月からは,1パケット(128バイト)ごとに0.1円ずつカウントしていき,月間1万9500円を超過した分だけを追加課金する準定額サービスに移行する。また,DO-BOXのレンタル・サービスは2004年3月末で終了。レンタル期間終了後は,3月に発売予定のPCカード型端末を購入することになる。

 サービス開始当初の利用エリアは,東京都内の環状7号線の内側で,隅田川よりも西側の地域だけに限定される。2003年度末までに名古屋・大阪に拡大。2004年度中に九州地区でもサービスを利用可能にする。全国への利用エリアの拡大時期は未定である。

(杉山 泰一=日経コミュニケーション)