DDIポケットは10月23日,2003年度下期~2004年度上期までの事業戦略を発表した。まずは11月1日から,ADSLやFTTHなどのブロードバンドとDDIポケットのPHSデータ通信サービスを併用する場合に,PHS料金を15%割り引く「A&B割引」を提供する。また,準定額データ通信プラン「ネット25」の月額基本料を5800円から5400円に値下げする。

 A&B割引の対象となるブロードバンドは,DDIポケットが提携したプロバイダのサービスに限定される。KDDI,NTTコミュニケーションズ,日本テレコム,NEC,ソニーコミュニケーションネットワークなど20社以上のサービスが適用対象となる見通し。一方,A&B割引を使えるPHSデータ通信サービスは,準定額料金の「ネット25」,定額料金の「つなぎ放題」と「つなぎ放題」(「オプション128」を適用)の三つ。

 DDIポケットは事業戦略発表会の冒頭で,現在のユーザー分布を説明。カード型端末や電話機型端末を使ってデータ通信をする法人ユーザーが60万人,同じく個人ユーザーは90万人,また,PHSを通話にしか使わない法人ユーザーが30万人,個人ユーザーが120万人いるという。これら4分野のうち伸び率が高い法人・個人向けのデータ通信分野を中心に,様々な施策を打つ。その一例が,A&B割引の投入と,ネット25の値下げである。

 このほかDDIポケットは,(1)今年度中に利用エリアの人口カバー率を93.57%から95.36%に拡大,(2)基地局の増設などによって,パケット通信の実効速度を向上,(3)法人営業体制の強化,(4)無線LANカードとPHSカードのパッケージ商品「W-AHWL01」を11月10日に発売,(5)PDA(携帯情報端末)や家電など,特定機器向けに安価な定額データ通信サービスを提供--などを実施する。

 さらに,「すでに技術開発を進めているものの,実施するかは確定していない」((DDIポケットの喜久川政樹取締役経営企画部長)と前置きした上で,来年度以降の事業構想の一部も紹介した。具体的には,(1)最大データ伝送速度を128kから256kビット/秒に向上,(2)バックボーンのIP化を従来以上に進め,値下げ余力を拡大,(3)大口の法人ユーザー向けに,ビル内に設置する超小型基地局を提供--である。(3)の超小型基地局は,ビル内での混雑を解消するために設置するものだが,将来的にはPBXと内線電話機の置き換え用途も狙う。

(杉山 泰一=日経コミュニケーション)