東芝は11日からスイスのジュネーブで開催されている「ITU WORLD TELECOM 2003」において最大108Mビット/秒の無線通信を実演した(写真)。MIMO(multiple input, multiple output)という技術を使い,最大54Mビット/秒のIEEE802.11aのアンテナ2本で108Mビット/秒を実現した。

 MIMOとは,電波を使った大容量伝送を実現するための空間分割多重方式の一種。複数のアンテナを並べたものを通信の両端で使い,同じ周波数チャネルの電波を空間で隔てながら並列に伝送する。無線技術の中でも,第4世代移動体通信(4G)を実現する有力候補と見られている。「将来的には,20MHzの帯域で1Gビット/秒の伝送速度を実現するのが目標」(東芝リサーチ・ヨーロッパのルッセル・ヘインズ氏)。ただし,同一帯域で使うアンテナを多くすればするほど,並列に伝送したデータを正確に識別することが難しくなる。

 実演はしていなかったものの,三菱電機もブースでMIMOを紹介していた。「4Gや,2006年を目指して策定中の100メガ超の無線LAN規格であるIEEE802.11nとの兼ね合いを見ながら,実用化を進める」(三菱電機)。

(閑歳 孝子=日経コミュニケーション,ジュネーブ発)