ソフトバンクの孫正義社長は16日,スイスのジュネーブで開催されている「ITU WORLD TELECOM 2003」で基調講演を行った。「アメリカのブロードバンドはブロードバンドと呼べない。遅すぎるからだ。1Mビット/秒以上の帯域があるサービスで見れば,日本は世界一のブロードバンド大国だ」などと“孫社長節”を披露し,聴衆を沸かせた(写真1)。

 さらに孫社長は,規制政策についても噛み付いた。「規制をかける政府は,自分たちを利口だと思わないことだ。そして,新しいサービスが出てきてもあまり立ち入らないようにすべき。中国や日本は規制緩和によって,ブロードバンドが大いに発展した。しかし米国はどうか。FCC(米国連邦通信委員会)の規制のために,ブロードバンドが遅れているじゃないか」とまくし立てると,聴衆から大きな拍手が巻き起こった。

 Yahoo! BBのIP電話サービス「BBフォン」についても説明。最大26Mビット/秒のVoIP機能付きADSL(asymmetric digital subscriber line)モデムを手に持ち,ケーブルさえつなげば何の設定もなしにインターネットとIP電話が使えるようになると紹介した。「品質でいうと,BBフォンと東西NTTの電話サービスは,コカ・コーラとペプシのような違い。普通の人はまず気付かない。全く異なるのは料金だけだ」(孫社長)。基調講演終了後,多くの聴衆が孫社長を囲んだ(写真2)。

(閑歳 孝子=日経コミュニケーション,ジュネーブ発)