「端末が大量に出荷できる状態になれば,ユーザーのニーズを満たすよう,第3世代携帯電話(3G)サービスを2004年の10月までに始める」――。英ボーダフォンのアラン・サリンCEOは,スイスのジュネーブで開催中の「ITU TELECOM WORLD 2003」において,14日に行われた基調講演で計画を語った。

 欧州の携帯電話事業者は当初,3Gサービスを2001年末から2002年前半にも始める計画だった。しかし現在,欧州で商用サービス開始にこぎつけたのは英国やイタリアなどのハチソン・グループにとどまる。そのハチソンも,ユーザーの獲得に苦戦を強いられている状況だ。サリンCEOは「ユーザーが第2世代携帯電話から第3世代携帯電話へシームレスに移行できる必要がある」と同時に「3Gはこれまでよりもはるかに良いサービスでなければならない」ものと位置付けた。

 なおセッション終了後,日本のメディアを驚かせた光景があった。サリンCEOを取り囲む人だかりの中にソフトバンクの孫正義社長の姿があったのだ。孫社長も16日に基調講演を控えている。これを前に,サリンCEOとの接触を図っていた模様である。

(閑歳 孝子=日経コミュニケーション,ジュネーブ発)