通信の総合展示会「ITU TELECOM WORLD 2003」(TELECOM2003)が,スイスのジュネーブで10月11日(現地時間)に始まった(写真1)。11日は一般公開に先駆け,オープニング・セレモニーやプレス・カンファレンスが開催されたほか,報道機関などを対象に展示が公開された。プレス・カンファレンスでは,ITU(国際電気通信連合)の内海善雄事務総局長が「前回TELECOMが開催された99年に比べ,ブロードバンドとワイヤレスが成長したことが展示からうかがえるだろう」とアピールした(写真2)。

 TELECOMは4年に一度,ITU本部があるスイスのジュネーブで,ITUが開催する展示会。第1回開催は1971年で,2003年で9回目になる。ただし今回は,前回に比べ小規模になりそうだ。出展者数は約900と,約1200だった前回よりも4分の3に縮小。来場者数の見込みは11万5000人にとどまり,前回の約20万人のおよそ半分程度に落ち込みそうだ。

 出展者の顔ぶれからは通信業界の新しい胎動が見て取れる。ITUによると,出展企業の半数は,今回初めてTELECOMに出展する。「これは,大きな変化を暗示している」(内海事務総局長)。特に中国や韓国などアジアの企業には勢いがある。例えば中国のホアウェイ・テクノロジーズは,米マイクロソフト,米ヒューレット・パッカードに次ぐ3番目に大きい面積のブースで出展している。

 日本も例外ではない。日本企業を合計すると最も大きい展示スペースを占めている。11日は入場者が限られるにもかかわらず,日本企業のブースには人だかりができていた。

 TELECOM2003の基調講演やパネル・ディスカッションには,豪華な顔ぶれが並ぶ。米シスコ・システムズのジョン・チェンバースCEOや米ヒューレット・パッカードのカーリー・フィオリナ会長兼CEOなどが講演する予定。米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長も,13日にショーケースと呼ばれるプレゼンテーションに登場する。日本からは,12日にはNTTドコモの立川敬二社長,14日にはNTTコミュニケーションズの鈴木正誠社長,15日にはKDDIの小野寺正社長,16日にはソフトバンクの孫正義社長が登壇する。

 展示の一般公開は,12日から18日まで。基調講演やパネル・ディスカッションは,12日から17日までになる。

(閑歳 孝子=日経コミュニケーション,ジュネーブ発)

写真1 TELECOMの会場
写真1 TELECOMの会場

写真2 ITUの内海事務総局長
写真2 ITUの内海事務総局長