KDDIが,「03-xxxx-xxxx」といった従来通りの電話番号を使える個人向けのIP電話サービスに乗り出す。今秋にも開始するFTTH(fiber to the home)サービス上で,付加メニューの一つとして提供する。既にKDDIは,NTT東西地域会社から調達した光ファイバー回線を使い,IPの仕組みでテレビ番組を提供する「光IP放送」の事業化構想を発表済み。光IP放送に加え,「従来の番号が使える“光IP電話”」をメニューに揃えることで,FTTHサービス普及の起爆剤にする。

 総務省は,IP電話で従来の番号を使う場合に,1)加入電話並みの品質を確保する,2)「03」なら東京といったように,発信番号と場所を対応させる措置を取る,3)アクセス回線を収容する設備を自前で用意する,4)番号の需要に対応した事業計画を提出する--という4条件を課している。さらに今回の個人向けIP電話に対しては,「NTT電話を解約する代わりにKDDIの光IP電話に加入してもらう」という性格を考慮して,警察や消防署への緊急通報ができることを条件に課した。KDDIはこれらの条件を満たすデータを総務省に示し,先週末に総務省から許可を得た。

 KDDIの光IP電話は,NTT電話を解約した際に同じ番号が利用できる「番号ポータビリティ」にも対応する。ユーザーには,今回の光IP電話を導入すれば「NTT電話の基本料(都市部で月額1750円)が不要」という料金メリットを売り物に,FTTHの普及を図りたい考え。当初はマンションを対象に,サービス提供可能世帯を拡げていく。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)