10月7日に千葉県千葉市で開幕した日本最大のディジタル家電・ITの総合見本市「CEATEC JAPAN」では,ディジタル放送を受信できる携帯型端末が相次いで実動機で登場した。このうち来場者の注目を集めたのが,三洋電機が開発した携帯電話機である。

 通常の製品より若干厚みがあるものの,地上波ディジタル・テレビ放送の受信機能をきょう体内に内蔵した(写真1)。2003年12月に始まる地上波ディジタル・テレビでは,放送波を13の帯域(セグメント)に分割して,このうちの1セグメントを移動受信向けのサービスに振り分ける予定。三洋の電話機は,この1セグメントのテレビ放送サービスに対応した。このほか松下電器産業が,地上波ディジタル・テレビに対応した二つ折りの携帯端末を出展した。

 2004年上期に日本全国でサービスが始まる,「移動体向けの衛星ディジタル放送」に対応した端末も相次いで登場した。サービスは東芝を中心に設立されたモバイル放送が事業化を進めている。テレビが7チャンネル,ラジオが55チャンネルと,専門性の高い多チャンネル・サービスを提供する点が売り物だ。

 今回,対応端末を出展したのは東芝のほか,シャープ,マスプロ電工,三菱電機など。三菱電機は,ヘッド・マウント・ディスプレイ型の受信機を出展した(写真2)。現行テレビ放送の4分の1のサイズであるQSIFの映像を,片目で視聴する。また,シャープは映像を立体表示できる液晶ディスプレイを備えた受信端末を出展した。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)