IP電話機の開発・販売などを手がけるアイピートークは10月6日,PBX(構内交換機)機能を通信事業者にアウトソーシングする「IPセントレックス・サービス」のモバイル版を提供すると発表した。IP電話機として,構内IP携帯電話端末を用いる。内外線電話のコスト削減を狙う企業へ売り込む。

 固定電話向けのIPセントレックス・サービスは多くの事業者が提供し始めているが,同社によると「構内IP携帯電話を利用できるモバイル版を提供するのは日本で初めて」(アイピートークの木村俊取締役営業部長)と言う。提供開始は2004年3月の予定で,2003年11月から予約受付を始める。

 アイピートークのモバイル版IPセントレックス・サービス「モバイルIPTalkサービス」は,三菱電機とミヨシ電子が共同開発したIP携帯電話端末を利用する。最大伝送速度11Mビット/秒の無線LAN規格「802.11b」に対応。無線LAN用のSDカードを指し込んで使う。端末と制御情報をやり取りするPBX機能は,アイピートークが用意する「IPTalkセントレックスサーバー」で実現する。

 サービスの月額基本料金は,端末1台あたり3980円。基本料に端末の利用価格も含む。IPTalkのユーザー同士の通話料は無料で,外線への通話料は,一般加入電話への発信が全国一律3分8円,携帯電話への発信が3分59円となる。IP電話専用の「050」番号を端末に付与することで,加入電話からの着信も可能になる。サービスを利用するためには,無線LANの環境やインターネット接続環境をユーザーが構築する必要がある。

 アイピートークは今後,PHS用のSDカードを差し込むことで屋外通話を可能にしたり,ホテルや空港などにある公衆無線LANサービスでも,モバイルIPTalkサービスを使えるようにすることを検討中である。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション)