KDDIなど電話会社5社が,電話接続料の値上げを不服として起こした行政訴訟の第1回目の弁論が,10月3日に東京地方裁判所で開かれる。提訴を受けた国側が答弁書を陳述する予定だが,国側は「そもそも5社に提訴の資格があるか」を巡っては争わないことが分かった。

 KDDIなど5社の行政訴訟を巡っては,片山虎之助・前総務大臣が在任中の7月に「提訴は却下になるのではないか」と発言。暗に,「5社には提訴する資格がない」という「原告不適格」を求めて争う意向を見せていた。行政訴訟で,原告の適格性が認められるためには,「行政措置によって明らかに不利益を受けた」など,いくつかの要件を満たす必要がある。国側が原告不適格を争点にしない理由は不明だが,提訴の却下を勝ち取るのは困難と判断したと見られる。今後の裁判では,国と電話5社が,電話接続料の値上げの是非自体で争うことになる。

 争点となっているNTT東西地域会社の電話接続料は,総務省が4月に認可しており,2003~2004年度分は平均で4.8%増と初めて値上げされた。これに対して,NTT電話網を利用しているKDDIなど5社は7月17日に,認可の取り消しを求めて,総務大臣を被告とする行政訴訟を起こしていた。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)