東京電力が筆頭株主のパワードコムを核とする,電力系地域通信事業者の「IP電話連合」がいよいよ始動する。10月初めをメドに,パワードコムが電力系事業者4社とIP電話網の相互接続を開始するからだ。パワードコムが構築した全国規模のVoIP(voice over IP)網を各地域の電力系事業者に開放することで,全事業者が安価な全国一律料金を実現できるようになり,会員間の無料通話も可能になる。

 パワードコムの全国VoIP網と最初に相互接続するのは,中部テレコミュニケーション(CTC)と,九州通信ネットワーク(QTNet),STNet(旧・四国情報ネットワーク),東北インテリジェント通信(TOHKnet)の4社(TOHKnetは,近くIP電話に参入予定)。大阪メディアポートと12月の合併を予定しているケイ・オプティコムも,準備が整い次第パワードコムとの相互接続に踏み切る。

 これまで,これらの電力系通信事業者が提供するIP電話の中には,営業域内は3分7~8円であっても,域外が3分20円など,全国一律の料金でないサービスもあり,大手プロバイダなどのサービスに比べて見劣りしていた。パワードコムの全国VoIP網を利用することで,各社が全国3分7~8円の通話料金を実現できるようになる。パワードコムは,このほかの北海道,北陸,中国,沖縄の4地域についても,電力系の地域通信事業者がIP電話事業に参入するのに合わせて,相互接続を進める方針だ。
(玄 忠雄=日経コミュニケーション)