NTT持ち株会社の和田紀夫社長は9月18日の社長会見の席上,インターネットイニシアティブ(IIJ)への出資の狙いを語った。和田社長は,「IIJは技術力が高く,色々なことにチャレンジする姿勢がある」と高く評価。「IIJがユーザーを獲得する際にNTTの経営リソースを活用するなどシナジー効果を出していく」と述べた。

 NTT持ち株会社とNTTコミュニケーションズ(NTTコム)は9月16日に,総額103億5000万円をIIJに出資した。和田社長は,「IIJを配下に置きたかったわけではない。救済を求めてきたので,IIJの実力を評価して出資した」と説明。「最大3人の役員派遣を予定しているが,今後もIIJの経営の自主性は確保する」と強調した。

 ただしNTTコムとIIJは,インターネット接続サービスなどで競合関係にある。和田社長は,「そもそもNTTグループの中でも,競合関係がある。ソリューション・ビジネスなどでNTTグループが連携できるように,各事業会社の役割について既に検討を進めている」と説明した。

 まずは,NTT持ち株会社が推進する次世代ネットワーク「RENA」(resonant communication network architecture)の構築や運営で,グループ各社の役割分担を打ち出す計画である。各社の役割分担は,「(11月にも発表する)中間決算までに公表する」(和田社長)。RENA構築に向けた技術開発でもIIJと協力する考えを示した。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)