利用する携帯電話会社を変えても,電話番号を変更せずにすむサービス「番号ポータビリティ」--。同サービスを実現すべきかどうかについて,総務省が年内をめどに結論を出す可能性が高いことが判明した。実現すれば,携帯電話会社間の競争が従来よりも激しくなる。

 昨日,一部の新聞が「総務省は年内決着を目指している」と報道。これに対し,総務省電気通信事業部は「関連部署が複数あるため,はっきりとしたことは言えない」との考えを明らかにした。つまり,肯定も否定もしていない。

 NTTドコモ,KDDI,J-フォン,ツーカーセルラー東京の主要携帯電話4社と総務省の本格的な協議は,10月末ころに始まる。この時期までに,4社が8月に実施したユーザー・ニーズの調査データを総務省に提出。番号ポータビリティの実現にかかるシステム・コストとユーザー・ニーズのバランスを見て,番号ポータビリティ・サービスを提供すべきかどうかを議論する。

 ある携帯電話会社の担当者は,「検討材料となるデータを十分に用意して10月末に議論を始めれば,年末までに導入の是非を決めるのは自然なこと」と明かす。導入が決まれば,携帯電話各社が番号ポータビリティを実現する仕組みを作るには1年もあれば済むと見られる。つまり,2005年早々にも番号ポータビリティが実現する可能性がある。

 携帯電話各社と総務省の議論の焦点は,番号ポータビリティ・サービスを実現する際に必要なシステム・コストを誰がどう負担するかという点。例えば,(1)番号ポータビリティ・サービスを利用する携帯電話ユーザーだけに負担させる,(2)携帯電話各社が全額を負う,(3)(1)と(2)の折衷(せっちゅう)案--などのアイデアがある。(2)の場合,「長期的に見ると携帯電話各社の値下げ余力を奪う」という指摘が出ている。

(杉山 泰一=日経コミュニケーション)