NTTコムウェア,サン・マイクロシステムズ,大日本印刷(DNP)の3社は9月8日,無線ICタグ1万個を使う,ペットボトル素材の物流管理のフィールド実験を10月1日から開始すると発表した。物流管理には,米オートIDセンターが開発中の無線ICタグとサーバーを利用。インターネットで,ペットボトル素材の移動を追跡する。実験は,2004年3月末まで続ける。

 今回の実験では,千葉県柏市のDNP柏工場で製造したペットボトル素材を,同工場からキリンビバレッジの神奈川県高座郡にある湘南工場に納入するまでを追跡する。実際の物流システムの中での無線ICタグの有効性を実証するのが目的だ。

 無線ICタグは,ペットボトル素材を運ぶコンテナに装着。柏工場,搬送途中にある一時保管用倉庫,そして湘南工場の3カ所の倉庫の出入口に設置した無線ICタグのリーダーで,コンテナの通過を自動的に読み取り,インターネットを介してNTTコムウェアのデータベースに登録する。

 リーダーで読み取るのは,オートIDセンターが仕様を規定する「EPC」(electronic product code)と呼ぶ無線ICタグのID情報だけ。この情報に,読み取った時刻,データベースにあらかじめ登録してあるリーダーやコンテナのID情報を関連づけて記録する。記録したデータは,インターネットからWebブラウザで閲覧可能である。DNPはこれらのデータにペットボトル素材の製品データを関連付けることで,製品の仕様の詳細や受注主などの把握も可能にするという。

 DNPが提供する無線ICタグの大きさは,54mmx86mmと名刺と同程度。JR東日本の非接触ICカード「Suica」などと同じ13.56MHzの電波を利用して,EPCの値を読み取る。

(野沢 哲生=日経コミュニケーション)