キヤノンは企業向けIM(インスタント・メッセージ)システム「Real Time Communicator」(仮称)を,10月の展示会で公開する。パソコンに取り付けたUSBカメラで撮ったライブ映像を相互に送信し,その映像をアイコンとして一覧表示するのが特徴である。テキスト・メッセージの交換と社員の在席状況の一覧表示といった機能はもちろん,事務機器(複合機)との連携やビデオ会議などの機能も備える。Windows 2000 Serverで動作するサーバーと,Windows 98 SE以降で動作するクライアント・パソコンで構成される。

 少ない帯域で映像を送るために,キヤノンが慶應義塾大学と共同で開発したReal Time Communicator用のソフトウエア・コーデック「キヤノンWaveCodeコーデック」(仮称)を採用。画像認識機能を持ち,動きがある肌色の領域があれば自動的にステータスが在席に切り換わる。また一覧表示のリストはあくまで業務で使うことを想定し,管理職またはシステム管理者だけが作成できる。

 IM機能は,独自プロトコル(またはHTTPトンネリング)を使う。ただしキヤノンは,IM用のプロトコルとしてSIPやSIMPLEが使われている点に注目しており,将来的にはこれらのプロトコルに対応させる意向だ。ビデオ会議のプロトコルは1対1の場合とポリコムやタンバーグなどのテレビ会議システムと接続する場合はH.323,Real Time Communicatorで多人数の会議をする場合は独自プロトコルを使用する。

 IM以外に,キヤノンの複合機「imageRUNNER」との連携機能も備える。社員がスキャナで文書を登録した,FAXが届いたといった情報をReal Time Communicatorのサーバー経由で,パソコン画面にポップアップ表示で通知できる。このほか,携帯電話からの利用やアプリケーション共有,スケジューラ,掲示板などの機能も備える。

 Real Time Communicatorの発売日と価格は未定。まず10月に開催される展示会「キヤノン ビジネス ソリューション フォーラム 2003」の東京会場と大阪会場で展示する。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション)