NTT東西地域会社が「法人向けIP電話サービス」を提供する際に相互接続する長距離通信事業者が,9月上旬にも決定する見通しであることが明らかになった。入札は既に8月29日に締め切られている。本誌の取材では,グループ会社で長距離・国際電話を手がけるNTTコミュニケーションズが選定される可能性が高いことが分かった。

 仮にNTTコムが選ばれると,各長距離通信事業者からの反発は必至。旧NTTを再編し「県内通話は東西NTT」「県外と国際電話はNTTコム」となった固定電話事業のすみ分けは,IP電話サービスにおいてはなくなるためだ。

 また,相互接続先がNTTコム以外の事業者になっても,「ユーザーからは東西NTTが市内通話から長距離・国際電話まで手がけているように見えるので脅威」(長距離通信事業者A社)との意見もある。

 東西NTTの認可申請について,一般からの意見を9月16日まで総務省が募集している。本誌の取材では「NTT再再編のめどをつけてから認可すべき。今回の申請が認可されると固定電話での枠組みも,ないがしろになるのでは」(長距離通信事業者B社),「相互接続先決定の経緯を明らかにしてもらいたい」(長距離通信事業者C社)などの声が多数出ている。今後,NTT再再編の議論が盛り上がる可能性がある。

 東西NTTが10月に開始する予定の「法人向けIP電話サービス」は,市内や県内通話はもちろん,県間と国際通話の発信も東西NTTが料金設定権を持って提供する。そのため接続料や音声品質などの接続条件を考慮して,相互接続する事業者をそれぞれ1社選定することになっていた。県間と国際の事業者が同一になる可能性もある。

 NTT東日本は,同サービスの認可申請をした8月8日に,通信事業者55社に対して入札参加の有無を問う案内を送付。8月29日の締め切り時点で,県間通話には5社程度,国際通話に10社弱の事業者が名乗りを上げたという。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション)