日立製作所は9月1日,無線LANベースの位置情報システムを公開した(写真)。10月に販売を開始する。価格は未定だが,無線LANのアクセス・ポイント4台と位置情報サーバーの最小構成で300万円程度になる見込み。

 日立が開発したのは,複数の無線LANのアクセス・ポイントを利用して端末の位置を1~3mの精度で測定するシステム。100~200m間隔で格子状に設置した各アクセス・ポイントと端末の応答時間を測定して,端末と各アクセス・ポイントとの距離と端末の位置を割り出す仕組みである。位置を測定するには,最低3台のアクセス・ポイントが必要になる。

 これまでにも位置情報システムは,GPS(全地球測位システム)やPHS,Bluetooth,無線ICタグなど様々な無線システムで開発されている。今回のシステム開発に携わった日立の木下泰三コーポレートシニアスタッフは,「市場は高い精度を持つ位置情報システムを求めている。ところが,GPSやPHSを使ったシステムの測定精度は10m以上と低い。また,Bluetoothや無線ICタグでは広域をカバーしにくい。その点,無線LANなら,100~200mのスケールの中で詳細に位置を把握できる」と,無線LANを使う理由を説明する。

 日立が想定する主な使い方は,(1)工場などでの商品の位置管理,(2)テーマパークなどでのナビゲーション,(3)無線端末に一番近いプリンターの把握,(4)社外からこっそり社内の無線LANに接続する不正ユーザーの発見――など。「現在,いろいろな事業者と具体的な利用モデルを開発中」(木下コーポレートシニアスタッフ)と言う。