NTTの加入電話・ISDNからIP電話にかけた際の通話料が,全国一律で3分10~12円になる公算が高いことが明らかになった。対象となるのは,「050」で始まる11ケタの電話番号を使うIP電話サービスで,NTT電話からは10月中にも通話できるようになる。NTT電話にかける通話料が「全国一律3分7~8円台」と格安が売り物のIP電話だが,NTT電話側からIP電話にかける通話料は一般電話の市内通話料よりも割高になる。

 東西NTTは8月8日に,NTT電話からIP電話に通話できるようにするための認可申請を総務省に提出済み。料金はまだ公表していないが,東西NTTがIP電話事業者に支払う「IP電話網の接続料」を決める交渉では,主要なIP電話事業者と基本合意に達したことが明らかになった。関係者の話を総合すると,IP電話網側の接続料は「3分5.3円台~6円弱」にほぼ収れんした。

 IP電話網の接続料は,NTT電話からIP電話にかける際の通話料金に大きな影響を及ぼす。その通話料は,網コストの総和から推測できる。NTT電話からIP電話にかける際の網コストは,NTT電話網の「ZC接続料(3分5.36円)」とIP電話網の接続料の合算であり,合計で3分11円前後。東西NTTはこれに自社の営業コストや利潤を上乗せして,IP電話にかけた際の通話料を決める。関係者の間では,最終的な通話料は「3分10~12円に収まる公算が高い」という見方が支配的だ。接続料は秒単位で精算するのに対し,通話料は3分単位で課金される。このため一部には,「東西NTTが見込む平均通話時間次第では,3分9円台の料金もあり得る」という見方もある。

 NTT電話からの発信は統計上,市内電話の通話時間が全体の過半数を占める。「050」番号への通話は,長距離では割安になるものの,市内電話より明らかに高い水準。IP電話のユーザーにとっては,「050」番号を話し相手に使ってもらう利点は限られそうだ。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)