富士通ビジネスシステムの子会社である日本テレネットは8月4日,法人向けIP電話サービス「IPhase」を開始すると発表した。ADSL(asymmetric digital subscriber line)1回線で最大16通話分を同時に利用できる。

 ターゲット・ユーザーは,これまでPBX(構内交換機)と加入電話網を使って拠点間の内線通話を実現していた企業。既存の加入電話番号をそのまま使いながら,拠点間の通話料を無料にできる。090番号から始まる携帯電話向けに発信した場合には,1分当たり20円で通話できる。

 IPhaseは,IP電話用の番号として050番号で始まる専用番号ではなく,既存の加入電話番号をそのまま使う。このため,現在PBXにつないでいる加入電話回線は残しておく必要がある。この結果,東西NTTに払う回線基本料は現状と変わらない。

 専用のVoIP(voice over IP)機器を各拠点に設置する。VoIP機器は,PBX,ADSL,加入電話のそれぞれのサービスとの接続インタフェースを備える。VoIP機器には,あらかじめ拠点間通話で利用する加入電話番号を登録しておく。拠点の番号をダイヤルすると,VoIP機器が自動的に識別し,ADSLを経由してIP電話をかける。取引先など拠点間通話以外の番号をダイヤルした場合は,加入電話回線を選択して発信する。

 ADSLは,イー・アクセスが提供する8Mビット/秒のメニューを使う。VoIP機器が持つ音声信号の圧縮機能を使うことで,ユーザー宅から収容局に向かう上りの帯域が最大600kビット/秒以上なら音声品質を確保できる。

 月額基本料は,ユーザー宅内に設置するVoIP機器ごとに月額1万円。最大16通話までは月額1万円の定額で利用できる。初期費用は,VoIP機器1台当たり5000円。基本料には,IP電話サービスの利用料,VoIP機器のレンタル費用/リモート監視費用,ADSL回線の利用料が含まれる。

(加藤 慶信=日経コミュニケーション)