「ITの活用により生産性が向上し,国家の競争力が増す」--。来日中の米シスコ・システムズのジョン・チェンバース社長兼CEOが7月22日,自由民主党本部で講演した(写真左)。この講演は,自民党の麻生太郎氏(写真右)が委員長を務める「自由民主党e-Japan 重点計画特命委員会」が,委員会のメンバー議員との意見交換のために企画したもの。

 チェンバース社長は講演の中で,IT投資と生産性向上の密接な関係を説き,民間企業だけでなく政府部門の積極的なIT投資の必要性を訴えた。また,日本のe‐Japan戦略についても触れ,「日本のITに関する国家戦略は,インフラが先行している点が特徴。ブロードバンド回線の普及度や,米国の10分の1程度の料金でブロードバンド回線を使ったインターネット接続ができる」と評価した。今後重要なのは,「e‐Japanで構築した基盤を活用して,いかに業務プロセスを変えて生産性向上につなげられるかどうかだ」とコメントした。

 講演後に行われた議員との質疑応答では,テロに関する質問が相次いだ。中には「米国政府はテロリスト対策のため,インターネット上の情報を監視できるシステムを作り,米国のIT関連企業はそれに協力するように言われているのではないか。シスコはどうなのか」という短刀直入な質問もあった。チェンバース社長は,「シスコは多くの国で通信機器を販売している。特定の国の政府だけに肩入れはしない」と無難な返答をした。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション)