通信事業者の規制緩和策などをまとめた電気通信事業法とNTT法の改正案が7月17日,衆議院本会議で可決されて成立した。1985年以来続いてきた日本の通信制度が抜本的に変わることになる。

 事業法改正の狙いは,現状では一種と二種に分かれている電気通信事業の区別をなくすなど規制を緩和し,事業者間の競争を促進させること。具体的には,(1)通信事業に参入する際の審査を簡素化する,(2)NTTなど現行制度の第一種電気通信事業者にも料金などをユーザーと個別交渉で定める相対契約を公認する――などである。

 通信事業者,ユーザーともに,サービスの契約形態などで大きな影響を受けることになりそうだ。ただし,改正法が施行されるのは早くて2004年初めになる見込み。現行法に基づいて定められた省令などの改正作業が多岐にわたるためだ。

 今回の改正法は法案そのものに加えて,参議院が5月にNTT東西地域会社の光ファイバ開放義務の緩和検討などを求めた附帯決議を採択したことに大きな注目が集まった。ところが,衆議院は附帯決議を採択せずに可決したため,衆議院と参議院で決議内容が異なる異例の事態となった。

(島津 忠承=日経コミュニケーション)