KDDIなどの電話会社5社は7月17日,総務省が4月22日に認可したNTT東西地域会社の電話接続料値上げの取り消しを求め,総務大臣を相手取った行政訴訟を東京地裁に起こした。通信事業者が監督官庁である総務省に対して訴訟を起こすのは初めてである。

 訴訟を起こしたのはKDDIと日本テレコム,パワードコム,ケーブル・アンド・ワイヤレスIDC,フュージョン・コミュニケーションズ--の5社である。各社が個別に東京地方裁判所へ訴状を提出した。5社の社長がそろった共同記者会見の席上,中央に座ったKDDIの小野寺正社長は「争点の正当性から言って勝算は十分にある」と自信を見せた(写真)。

 訴訟の争点は五つ。(1)情報通信審議会の答申に反して接続料を決めたり,東西NTTの接続約款の認可時に利害関係者の意見募集を実施しないなど,総務省が適正な行政手続きを取らなかったこと,(2)接続料には含まれるべきでないコストや東西NTTのリストラ効果が反映されておらず,適正な原価に基づいていない,(3)電話トラフィックが規定値以上に増減した場合に差額を精算する「事後精算方式」の導入は,電気通信事業法に規定されていない,(4)東西NTTの接続料を均一にしたのは,独占禁止法違反。公正な競争を妨げているため,電気通信事業法にも違反する,(5)認可した接続料を認可が下りた4月22日ではなく,4月11日にさかのぼって適用している--である。

 行政訴訟の結果が出るのは,過去の例をみると平均17カ月かかる。関係者によると,約1カ月半~2カ月後に今回の訴訟の第一回公判が開かれる模様だ。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション)