NTT東西地域会社は7月16日,総務省にADSL(asymmetric digital subscriber line)に関する接続約款の認可を申請した。干渉ルールが決まっていなかった12メガADSL技術を利用する際の技術的な条件などを決めた。

 これまで12メガADSL技術は,他回線に及ぼす干渉を検討しないまま「未確認方式」としてサービスで活用している。民間標準化団体の情報通信技術委員会(TTC)で干渉ルールを検討してきたが,ソフトバンクBBがルール作成手順などに異議を唱えて紛糾していた。ようやく7月9日に,12メガADSLの干渉ルールが決まったため,東西NTTが接続約款に盛り込んだ。

 各社の12メガADSL技術は,太束ケーブル内での収容制限が付かない「クラスA」に分類された。ただし,ソフトバンクBBと長野県協同電算が使う12メガADSL方式「G.992.1 Annex Aオーバーラップ」方式には,「事後対策」と呼ぶ条件が付くことになった。

 事後対策とは,導入後に干渉が発生した場合は対策を施すという条件を付けること。太束ケーブル内で,Annex Aオーバーラップ方式の隣の回線が干渉を受ければ,回線の収容場所を変える必要がある。回線の収容替えになれば費用がかかるうえ,既存ユーザーの回線を一時停止することになるため,ADSL事業者の負担は大きい。ただし,ADSLは干渉以外のノイズでも速度が低下することがあり,オーバーラップ方式からの干渉かどうかを判別するのは難しい。