最大24Mまたは26Mビット/秒のADSL(asymmetric digital subscriber line)サービスが,ようやく来週にも始まる見通しになった。情報通信技術委員会(TTC)が7月8日夜に,新技術の干渉ルールを合意したからだ。ADSL事業者はサービスを6月から相次いで発表していたが,開始日は決まっていなかった。

 TTCは7月3日,干渉ルールを検討する「スペクトル管理サブワーキンググループ」の会合を開催した。この会合では24メガADSLの干渉ルールについて議論したものの,参加者が提出した干渉シミュレーションの結果が食い違った。そこで,7月8日22時を期限に設定して,NECや住友電気工業などの参加者が再度シミュレーションを実施した。

 この結果,NTT東西地域会社などが採用する24メガADSL技術「G.992.1 Annex I」は,干渉の度合いが小さいため距離制限が付かないことになった。一方,ソフトバンクBBが採用する「G.992.5 Annex A」のオーバーラップ方式は,NTT局から2.5km以内のユーザーとの通信に制限される。

 ただし,距離制限が付いてもサービス運用上は問題がない。元々24メガADSL方式は,NTT局から2km程度以上になると12メガADSL方式よりも遅くなることが多い。実際,多くのADSL事業者はNTT局から2km以上などの遠いユーザーには,24メガADSL技術ではなく12メガADSL技術などを活用する方針だ。

 TTCは7月10日にも,干渉ルールを文書としてまとめる計画。東西NTTは11日にも,ADSL事業者との接続条件を決める接続約款に,このルールを採用することを付け加えて総務省に認可申請する。総務省は軽微な変更として,来週にも認可する見通しである。この直後から,ADSL事業者は新サービスを開始できるようになる。