日本コンベンションセンター(幕張メッセ)で開催中の「NetWorld+Interop 2003 Tokyo」(N+I)で,米IPインフュージョンが同社の主力商品であるソフトウエア・ルーター「ZebOS」を,7月1日に日本で発売したと発表した。

 今回投入するZebOSは,「Linux」や「Windows」など各種サーバーに実装するための「バイナリ版」。低価格化,高性能化が進むサーバーに実装することで,市販のルーターよりも低コストの「ソフト・ルーター」を構築できる。既にルーター・メーカーへのソース・コードの供給では,米ファウンダリ・ネットワークスや,日立製作所,古河電気工業,NECなど大手ベンダーと取引した実績がある。米シスコ・ネットワークスのルーター用OS「IOS」に対抗できるソフトと見られている。米国では昨年に,バイナリ版の市販を開始している。

 ZebOSの特徴は,各種ルーティング機能をモジュール化し,機能の拡張・追加を容易にした点。IPv4とIPv6の両方で,「RIP」(routing information protocol),「OSPF」(open shortest path first),「BGP-4」(border gateway protocol version 4)という主要ルーティング・プロトコルの機能を備えるほか,MPLS(multiprotocol label switching)も実装済み。今後も「IS-IS」(intermediate system to intermediate system)などのプロトコル処理モジュールを順次,発表する予定だ。

 出展では,ZebOSを実装したNECや日本ヒューレット・パッカードのブレード・サーバーなどでデモンストレーションを実施(写真)。さらに,3万円台と低価格の小型サーバー,ぷらっとフォームの「手のひらサーバ Open Blocks 266」にもZebOSを組み込み,同サーバーで構築したネットワークを実演してみせた。

 希望価格は1ライセンス当たり39万円。ボリューム・ディスカウントは今後検討する。通信事業者に低価格ルーターとして売り込むほか,ファイア・ウオールなどに組み込んで使う用途などを企業に提案していく。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)