ソフトバンクBBとヤフーは6月23日,下り最大伝送速度20Mビット/秒超のADSLサービスを開始すると発表した。サービス名は「Yahoo! BB 26M」で,下り最大26Mビット/秒を標榜する。6月25日から申し込みを受け付け,7月中の開始を予定している。利用料金は同社の12メガ・サービスの300円増で,合計で月額3670円となる。これにはDSL接続料金,インターネット接続サービス,モデムのレンタル料金を含んでいる。

 これまで,20メガ超のADSLサービスを始めると発表したのは,大手ではNTT西日本とアッカ・ネットワークス,イー・アクセス。NTT西日本とイー・アクセスは「24メガADSL」,アッカとソフトバンクBBが「26メガADSL」を名乗る。

 今回ソフトバンクBBは,ITU(国際電気通信連合)でG.992.5として策定された規格である「ADSL2+」対応のADSLモデムを調達した。今のところAnnex A仕様のみが勧告化されており,日本のISDNへの対策を施したAnnex C仕様は秋以降に勧告化される見込み。なお,ソフトバンクBB以外のNTT西日本,イー・アクセス,アッカはG.992.1のAnnex I仕様を採用している。Annex IはG.992.1のAnnex C仕様の伝送帯域を2倍に広げ,下り20Mビット/秒超を実現したものである。

 アッカとソフトバンクBBが2Mビット/秒を“上乗せ”できているのは,オーバーラップという技術を下りの伝送に採用しているからだ。これによって,理論上は下り方向の伝送速度を1M~1.5Mビット/秒アップできる。加えて,アマチュア無線との干渉対策による速度低下を現段階では計算から外している。

 20メガ超のADSLでは,2.2MHzまで伝送帯域を広げた。このため,1.81M~1.825MHz,1.9075M~1.9125MHzの帯域で,アマチュア無線と干渉する恐れがある。そのため,ITU仕様ではこれら帯域と周辺におけるADSLの信号出力を落とすことが定められた。ただし信号出力をどのように落とすかは,業界内でまだ議論が詰めきれていない。この議論の決着次第では,下りの伝送速度が変わってくる可能性が残っている。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)