参議院総務委員会が5月22日に採択したNTT東西地域会社の規制を緩和することなどを求めた附帯決議が,衆議院側では採択されない見通しとなった。参議院の原案を作成した民主党が,衆議院では白紙撤回する方針を固めたからだ。

 参議院総務委員会の附帯決議は,NTTグループが主張してきた内容をほぼ踏襲している。(1)東西NTTに対する光ファイバ網の開放義務の在り方を検討すべき,(2)東西NTTが県間業務に進出する際の手続きを簡素化すべき――といった内容である。

 この原案を作成したのは民主党の内藤正光参議院議員らだが,党内で十分な調整を経ないまま提出してしまったという。手続きに問題があったうえ,党内でも参議院の決議内容に反発する議員が多いため,衆議院では撤回する運びとなった。

 民主党は代案として,島聡代議士らが作成する案を基に衆議院の附帯決議案を作成する方向で調整中。島代議士は,東西NTTに一定の規制を課して設備開放を促す現行の通信政策の方針を支持している。このため衆議院の附帯決議案は,参議院とは正反対の内容になる可能性が高くなった。

(島津 忠承=日経コミュニケーション)