総務省の事業用電気通信設備等委員会は6月13日,第4回会合でxDSL(digital subscriber line)の干渉対策の報告書案「DSLスペクトル管理に関する基本的要件」に対する意見について議論した。意見募集の締め切り日だった6月2日までに通信事業者のほか98人の個人から意見が集まった。特に,24メガADSL(asymmetric DSL)からアマチュア無線への干渉を心配する個人の声が目立った。

 24メガADSL技術は,2.2MHzまでの高周波数を利用して変調する。このうち,1.81~2MHzはアマチュア無線も使うため,アマチュア無線に悪影響を及ぼす可能性がある。そこでADSL事業者は,ITU(国際電気通信連合)の24メガADSL規格に基づいて,1.81~2MHzの出力レベルを-80dBm/Hz以下に抑える方針だ。

 ところが多くの個人から,「-80dBm/Hz以下で本当に問題がないか,サービス開始前に実証実験で確認すべき」という意見が出た。これに対して事業用電気通信設備等委員会は,「-80dBm/Hz以下の抑制は,ITU勧告で国際的に認められた技術的に妥当な対策である。ただしADSL事業者は,実証実験やフィールド・データを公表することが望ましい」とした。干渉実験は促したものの,24メガADSLサービス開始前の実験は義務付けなかった。

 委員会が打ち出した今回の方針で,24メガADSL開始に向けた条件整備が一歩進んだことになる。ただしサービスを始めるには,民間標準化団体の情報通信技術委員会(TTC)で24メガADSLの干渉の検証も必要である。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)