米アトランタで開催中の「SUPERCOMM」(会期:6月1日~5日)では,最大24Mビット/秒のADSL(asymmetric digital subscriber line)規格「ADSL2+」に対応した機器が初めて登場した。出展したのは,米UTスターコムや韓国コアクセス,米アナログ・デバイセズなどだ。

 このうち,UTスターコムは,VoIP(voice over IP)機能と無線LANのアクセス・ポイントの機能を組み込んだ試作機を出展した。同社とコアクセスは,米グローブスパン・ビラーダの信号処理LSIを採用しており,早ければこの夏にも日本市場でサービスが投入されそうだ。

 また2社ともに,ADSL回線上で放送品質での映像配信のデモンストレーションを実施した。ADSL上で複数のサービスを,多重して提供する用途を想定した試みだ。2社は,ソフトバンクBBへ「Yahoo BB!」用の機器を納入しているメーカー。日本市場での成功を背景に,「マルチ・サービス」対応モデムを他の市場でも売り込むことを狙う。

 一方アナログ・デバイセズは,自社開発のLSIを搭載したADSLモデムを出展した(写真)。特徴は,1台の装置で,Annex A,同B,同C(それぞれ北米,欧州,日本向け)という各仕様に対応していること。電話局側に設置するDSLAM(DSL access multiplexer)で機能を切り替えられるため,ユーザーはサービス提供者側の仕様を気する必要がなくなる。通信事業者からみれば,モデムを店頭での売り切りにできる利点がある。

 なお昨日発表された,優れた機器やサービスに送る「SUPERQuest Awards」のバックボーン・コア/エッジ部門で,ソフトバンクBBの「Yahoo! BB」が受賞した。受賞理由はIP電話サービス「BBフォン」の成功。UTスターコムが,その主要ベンダーとして同時に表彰された。「海外のサービスのビジネス・モデルが評価されて,賞を獲得するのは珍しい。早期に200万ものIP電話ユーザーを獲得したことが決め手となったのだろう」(UTスターコム)。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)