東京都杉並区の山田宏区長は6月4日,「区民選択方式」で住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)に参加すると発表した。今後,国を含めた関係機関と話し合う。区民選択方式は,横浜市が採用した方式と同様のもので,区民一人ひとりが参加/不参加を選択する。不参加を希望した区民のデータはネットワークに接続されない。

 これまで,東京都杉並区は住基ネットへの参加を見送っていた。5月23日に個人情報関連5法が成立し,住基ネットへの態度を表明する必要があったため,このタイミングでの発表となった。

 今回,区民選択方式を採用した理由として山田区長は,「個人的には,住基ネットはお金が掛かる割には効果が薄いと思う。しかし,参加を希望する区民にはサービスを提供していきたい。区民選択方式は,現時点では最良の選択だと判断した」と回答した。杉並区の事前アンケートでは,67%が不参加,9%が参加,14%が区民選択方式での参加を希望していた。

 市民に参加/不参加の意思を確認する時期については「8月25日の二次稼働の様子を見てから意思を確認するか,その前にするかを現在検討中」としている。意思確認後にシステムの構築に入るため,準備期間は最低でも半年はかかる。そのため,2003年内の参加は厳しい見通しだ。

 杉並区は今後,(1)情報セキュリティの運用管理標準規格であるISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得,(2)条例による罰則規定の整備,(3)杉並区の運用を監視する第三者機関の設置,(4)全国的な運用状況の把握,(5)他の自治体と共同で監視機関の設置――を進めていく方針。システム構築段階では,既に稼働している横浜市の情報システムを参考にしながら構築していく。

(白井 良=日経コミュニケーション)