異なるインターネット接続事業者(プロバイダ)のユーザー同士が,IP電話で相互通話する際に必要になる品質や技術基準が明らかになった。プロバイダ8社が幹事会社となっている「IP電話普及ISP連絡会」が定めた。

 同連絡会は,相互通話するための基準として,(1)エンド・ツー・エンドで「クラスB」品質の確保,(2)「050」番号による着信,(3)呼制御プロトコルにSIP(session initiation protocol)を採用,(4)音声符号化方式にG.711を採用,(5)DoS(denial of service)攻撃やスパム発信などへの対策――などを掲げた。

 クラスBとは,総務省の「IPネットワーク技術に関する研究会報告書」で規定されている3クラスのうち中間レベル。通話品質基準である「R値」が70より大きく,遅延時間が150ミリ秒より小さい品質を指す。「インターネット接続サービス安全・安心マーク推進協議会」が発行する「安全・安心マーク」を取得していることも,基準に盛り込んだ。

 ただし,MGCP(media gateway control protocol)やH.323などの呼制御プロトコルに関しては,SIPに変換できることを条件に,相互通話を可能とする。さらに,G.711以外の音声符号化方式も,相互接続性が保証されていれば可とした。

 連絡会に加入するIP網の相互接続形態は,(1)冗長化が取れる形態で直接接続(プライベート・ピアリング)すること,(2)IX(インターネット・エクスチェンジ)でのピアリングを2カ所以上にすること――のいずれかを想定する。そのほかの形態であっても,品質基準を満たして運用できる場合は許容する。

 IP電話普及ISP連絡会は2003年中に,加入するプロバイダに向けロゴを発行する計画。プロバイダはこのロゴを提示することで,ユーザーにIP電話の品質や信頼性を訴える。

 同連絡会は,IP電話間の相互通話にかかわる品質やサービス・ポリシーのガイドラインを作成する目的で4月に設立。幹事会社は,(1)NTTコミュニケーションズ,(2)KDDI,(3)ソニーコミュニケーションネットワーク,(4)NEC,(5)ニフティ,(6)日本テレコム,(7)ぷららネットワークス,(8)松下電器産業――の8社。現在,他のプロバイダに参加を呼びかけている。

(閑歳 孝子=日経コミュニケーション)